夢は叶う「自分にできないと考えている間は、本当はそれをやりたくないと心に決めているのだ。だから、それは実行されはしない」 -- スピノザ(オランダの哲学者)--『絶対に、ミュージシャンになろう!』そう心に決めた、ふたりの若者がいました。 いつかは、都会へ出て、アルバイトをしながらでも、音楽の練習を続けて、夢を叶えたいと思っていたのです。 本気で将来の進路を決めなければならない時期になって、彼らは、すでに夢を実現した、先輩のミュージシャンにアドバイスをもらおうと手紙を出しました。しばらくして届いた返事には、「毎日、好きなことをして生きていくことは、とても刺激的ですばらしいことだ。でも、音楽で成功して生計を立てるのは、そう簡単なことではない。苦しい時期が長く続くことを覚悟しなくてはならないだろう。それでも、必死でがんばれば、いつかは目標を達成できるはずだ。がんばれ!」といったことが書かれてありました。 ひとりは、『好きなことができるのはステキだ。一生懸命努力すれば、必ずミュージシャンになれるんだ』という、前向きのメッセージを受け取りました。 もうひとりは、『やっぱり、音楽で身を立てるのは、難しいようだ。辛く苦しい日々が続くだろう。最後までがんばることができるだろうか?』と不安を感じました。 次にふたりは、友人や知人たちの何人かに相談しました。 「人生は一度だけなんだから、若いうちに思い切って、好きなことにチャレンジした方がいい」「ふたりとも才能があるんだから、絶対に成功するよ」と、力強く励ましてくれる人もいたし、「うまくいかなくて挫折したら、みっともないよ」「才能があるといっても、きっともっとすごい連中も多くいるだろう。本当に大丈夫か?」などと、心配してくれる者もいました。 先輩ミュージシャンの手紙から、前向きのメッセージを受け取った若者は、励ましのことばを聞くたびに、ミュージシャンを目指そうという夢が、ますます膨らんでいきます。絶対に、ミュージシャンになれるのだという気持ちが湧いてくるのです。 もうひとりの若者は、心配してもらうたびに、どんどん不安が広がってきて、自分の夢や才能にも、少し疑いを感じるようになってしまいました。 それでも、ふたりは、とうとう本気で夢を追いかける決意をして、都会へ出ることを両親に告げました。ふたりが予想していた通り、強く反対されました。両親は、まったく話も聞いてくれないのです。ここまでは、ふたりとも同じでしたが、差が出たのは、そこからです。 ひとりの若者は、何度も両親と話し合い、ときには大ゲンカをしながら、何度も自分の気持ちを伝えたのです。もちろん、その間も、音楽の練習に精を出しましたし、それだけでなく、家業の手伝いなども、熱心に励みました。 ところが、もうひとりの若者は、両親に反対されると、すっかりあきらめてしまって、もう音楽の練習をする気にもなりませんでした。数年後…… はじめの若者は、何とか両親を説得することに成功し、都会での下積み生活の結果、念願のミュージシャンとしてデビューすることができました。まだ、それほど有名ではありませんが、ライブハウスなどで地道に活動を続けながら、さらなる飛躍を目指しています。彼は、いつも思います。『あのとき、みんなが自分を励ましてくれたから、今の自分があるんだ』 もうひとりの若者は、別の仕事に就き、音楽は、ときどき思い出したように楽器を手に取る程度です。彼は、今の生活に大きな不満があるわけではないのですが、深夜のラジオ番組などで、昔の音楽仲間の曲を耳にしたときには、少し胸が痛くなります。そんなときには、こんな気持ちが湧いてくるのを抑えることができません。 『あのとき、まわりのみんなが反対したり、脅かしたりしなかったら、今頃は、俺だって、夢を叶えて歌っているはずなのに……』 本当の問題は、まわりの人たちや環境などではないのですね。 どれだけ自分を信頼できるか、そして、どれだけ自分のやりたいことに素直になるかが大切なのでしょう。 ……夢を描けるのなら、それを叶える力は、必ずあなたのなかにあるのですから。 ●HOME 「健康増進、病気予防、抗加齢(若返り)、長寿、豊かさ、幸せを探求する研究所」に戻る ⇒ |